Tomorrow's Promise


「明日もお仕事忙しいんですか?」
「特になにもないが、なんでだ?」
「本当ですか!?じゃあ一緒に遊んでください!!」
「ああ、いいぞ」
「やったーww最近遊んでくれなかったから寂しかったんです…でも嬉しいですvv」
(まだまだガキだな)
はしゃぐ宗次郎を見ていると自然と顔が笑んでしまう。
「あ。なんで笑ってるんですかぁ?」
「何でもねぇ。さ、今日は早く寝るぞ。」
ガキだなんて言ったら怒って拗ねるのがわかっているからあえて言わない。
「はーい。おやすみなさいww」
灯りは月の光だけ。
(早く朝にならないかなぁ)
暗い部屋の中で眠る前に見たのは、月明かりの下、優しく微笑む大好きな人。
素直になれない土方は、今日もまた“おやすみ”の一言を言えなくて、
そっと宗次郎の頬に口付けをして眠りについた。


「...んっ...」
(あれ?もう朝?)
眠い目を擦りながら反対の手を伸ばす。
が、手は空を泳ぐだけで...
「土方さんっ!?」
勢いよく起き上がってやっと気付く。
(いない...どうして??)
部屋をぐるっと見渡す目が涙で滲む。
「どこ...っ...土方さん」
じっとしていても仕方がないので、枕元に用意していた服に着替えて部屋を出て行った。


それから宗次郎は一生懸命に土方を探した。
「土方さん見ませんでしたか?」
会う人みんなに聞いてまわるが、
「今日はみてないな〜。」
返ってくるのはこの言葉だけ。
「そうですかぁ...じゃあ私はこれで」
お礼の返事も決まってしまう。
それでもめげずに聞いてまわったのだが、近藤さんも永倉さんも、原田さんに藤堂さんも、
誰も土方の行方を知らなかった。
「土方さん...どこ行っちゃったんですかぁ?」
声に出すと、空しくなって涙が次々と溢れてきた。
「ふぇ...っく...」
宗次郎が起きたのはもう昼を過ぎたころだったので、部屋に戻って縁側にでた時には
すでに日は暮れてきていた。
見るものすべてが赤く染まる。
涙で滲む景色はきれいで見惚れてしまう。
「宗次郎」
声がして後ろを向くと、バツの悪そうな顔をした土方が立っていた。
「土方さん!!」
走っていって抱きつくと、ちゃんと受け止められて嬉しくなる。
「悪かった。今朝急に仕事ができて」
「怖かったです...もう、土方さん帰ってこないんじゃないかって...」
朝の不安を思い出し、怖くなって目に涙が浮かぶ。
「本当に悪かった。」
力強く抱きしめて、切なく優しい口付けをする。
「今度からは、どんなに早くても起こしてください」
上目遣いで言われ、了承してしまいそうになるが
「...お前、起こしても起きねぇだろ。」
ぎりぎりのところで、宗次郎が朝苦手なのを思い出した。
「じゃあせめて文くらい置いてってください」
引き下がらない宗次郎に折れて
「しょうがねぇな」
と、面倒だと思いつつも返事をする。
「よかったぁww土方さん大好きです///」
ふっと余裕そうに笑う土方だったが、心の中では理性をおさえるのに必死だった。


 ――夜
「明日は一緒に遊びましょうねww」
「明日からはまた仕事があ」
「だって...ほんとは今日......」
土方が言い終える前に宗次郎が泣きそうになる。
「わかったわかった。仕方ねぇ、遊んでやる。」
「ww今日は早く寝ますね。おやすみなさぁいvv」
「あぁ......ぉ、おやすみ///」
「!!初めて聞きましたぁvv」
「うるせぇ///「さっさと寝るぞ」
「はぁい。土方さんおやすみなさい☆」
それから土方の返事はなかったが、宗次郎は幸せだった。
自分にだけ言われる言葉。それがとても嬉しかったから...。